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第六回「岡倉天心記念賞」受賞者・作品発表

2018年度第六回岡倉天心賞受賞者が決定いたしましたので発表いたします。

【岡倉天心奨励賞】

徐涛(愛知大学国際中国研究センター研究員)
主要受賞対象作品:
『台頭する中国における東アジア共同体論の展開ー戦略・理論・思想ー』(花書院)

推薦文:中国の東アジア共同体論に関する研究の大半は、2000年代以降に見られる中国の東アジア地域外交の現象面に集中し、それを根底で支える知の世界、言説の世界の広がりに十分な注意を払ってきてはいない。
こうした先行研究の不足を踏まえ、本書は、外交戦略、国際関係理論、歴史・思想という三つの視座から現代中国の言説空間において展開されている東アジア共同体論/東アジア論を分析し、現代中国における立体的な東アジア像の提示に努めた。
本書は、外交戦略、国際関係理論、思想という学際的な観点から膨大な中国語文献を分析し、中国における多面的な東アジア論およびその相関関係を浮き彫りにした。本書が論証したように、戦略、理論、思想という三つの異なる領域/次元における中国の東アジア論は互いに内在的相互作用/規定の関係を有しつつ、いずれも中国における新たな自己像と世界像の模索を反映するものである。
本書はアジア共同体の形成に重要な示唆を与えるものであり、岡倉天心賞にふさわしいと評価し、推薦する。
(推薦者:鹿児島大学教授・学会理事 木村朗)


【岡倉天心記念賞】

後藤康浩(亜細亜大学都市創造学部教授)
主要受賞対象作品:
『アジア都市の成長戦略』 (慶応義塾大学出版会)

推薦文:本書は、アジアの発展の拠点として「都市」に着目した点である。地政学を超えた都市地経学を提示し、「ジオ・アーバノミックス」と呼んだ点に独創性がある。これにより、国ではなく、「都市」からのアングルでしか見えないアジアの競争戦略をとらえる。今世紀は都市が国家を先導し、経済構造を変え、成長を加速する時代に到達したと認識する。本書の特徴的な章が第5章である。外資誘致による産業集積形成が、輸出加工区、自由貿易区、経済開発区を軸に形成されたと指摘する。まさにこの点にアジアの成長戦略の原点があると評者も同感する。本書ではそこからアジアの「都市間競争の構図」を導き、都市の競争力のポジショニングを鮮明にする。更に、著者の32年間のジャーナリストの経験を生かすことにより、最終章の第7章でアジアの「都市力」を生き生きと伝えている点で感銘を受け、学ぶところが多々ある。(書評・推薦文:朽木昭文学会理事長)


【岡倉天心国際学術文化賞】

林敏潔(南京師範大学教授。博士)
主要受賞対象作品
林敏潔教授著、鷲山恭彦東京学芸大学前学長監修(万葉舎刊)
『日本と中国の大学生たちのキャンパスライフ 日・中大学生の価値観比較』1
『グローバル時代の日本と中国の若者たち 日・中大学生の価値観比較』Ⅱ

推薦文:林敏潔教授は、1990年代に来日以来、日中両国間の平和友好関係の展開に向けて、特に表記に代表される学術面で顕著な業績を上げられ、同時に日中教育民間外交面でも多様な活動に尽力されてきた。
同氏の学術国際面での業績が、「アジアは一つ」の理念の下、世界平和友好とアジア文化交流に尽力された国際人・岡倉天心の思想と業績を体現する国際学術文化賞に値するものと判断し、ここに国際アジア共同体学会を代表して、林敏潔教授に、上記学術文化賞を授与することを決定報告するものである。(推薦者:中川十郎学会前理事長)

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