BIS論壇 No.230 『共謀罪法案について』2017年6月13日 中川十郎
  • 2017.6.13

 法律専門家や学者、有識者が今回の安倍政権の「テロ等共謀罪」法案については人権上も問題があるとして、安倍政権の強行採決に強く反対している。国連特別報告者のジョセス・カナタチ氏は277の犯罪の準備行為を処罰できる本法案は組織や準備行為の定義もあいまいだとして安倍政権の共謀罪に懸念を表明している。

 一方スイスのジュネーブで開催中の国連人権理事会で6月12日、国連の「表現の自由の促進」に関する特別報告者デービッド・ケイ氏は昨年4月の訪日の調査結果を報告。「当局者による直接、間接のメデイアへの圧力、いくつかの歴史問題を議論する場の制限、国家安全保障を理由に情報へのアクセスに対する規制の増加を特に懸念している」と発言。

 ケイ氏は報告書で、表現の自由を保障する日本国憲法21条を高く評価。自民党の改憲草案が21条に「公益」や「公の秩序」を害することを目的とした活動は認められないとの文言を加えようとしていることに懸念を示したという。(朝日新聞6月13日)

 『スノーデン 日本への警告』(集英社 2017年5月刊)によると2011年9月11日以降、米国のNSA(国家安全保障局)がインターネットを通じた大規模な監視体制を構築していたことを4年前の2013年6月にスノーデン氏が暴き、米政府による違法な情報収集のトップシークレットの機密情報を暴露。世界を震撼させたことは記憶に新しい。

 このスノーデン氏が上掲書で「監視の問題に限らず、日本でも少しずつ全体主義が拡大していると言えます。民衆が政策に反対しているのに、政府が民意を無視することを何とも思っていない時にはとりわけ危険です。ここで私が問題にしているのは日本国憲法第9条の解釈のことです。有権者の3分の2が日本をより軍国主義的にするような憲法9条の削除、改正、そして再解釈に反対しているにも関わらず、安倍政権は憲法改正と言う正攻法でなく、裏口入学の法律解釈を行ってしまいました。~中略~ジャーナリストは政府が何をしているかを把握しなければなりません。にもかかわらず、すべての情報が特定秘密として閉じられてしまう。これは非常に危険です」(同書49~50ページ)と安倍政権の憲法解釈、特定機密法を厳しく批判し、日本のジャーナリストの奮起を促している。

 しかし、この度の加計学園問題に関しても読売新聞など社会の木鐸たるべきジャーナリズムが安倍政権の垂れ流す情報を御用新聞よろしく、そのまま報道していることは新聞の自殺行為だ。正義派弁護士の郷原信郎氏は「読売新聞は死んだ」と批判しておられる。

 そもそも中立であるべき新聞社やテレビ局の会長や社長、編集長、政治部長らが安倍首相に食事に招待され会食している。かかることが公然と行われていること自体、日本のジャーナリズムが死んだことの証左ではないか。安倍官邸、菅官房長官の圧力でテレビ朝日・早河会長に「報道ステーション」を降板させられた古賀茂明・元通産官僚は安倍政権のメデイア干渉、抑圧の実態や、硬派のコメンテーター恵村順一郎・朝日新聞論説委員が首になった実情を、近刊『日本中枢の狂謀』(講談社)で実名入りで赤裸々に暴露している。

 安倍政権のメデイア支配の異常な実態を知り唖然とさせられた。ぜひ一読を勧めたい。

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